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執筆者の写真Tadayoshi Honda

Bob (MEMBERS ONLY)


 Hair by Katsumi Matsuo 


近年ジェンダーレスという言葉をよく耳にする機会が増えてきました。「女性らしさ」「男性らしさ」の線引きをなくそうとする風潮であり、日本でも社会全体でジェンダーレスを理解するために動き出しています。もちろんヘア業界でもスタイル用語としてよく使われ、ボブスタイルはジェンダーレススタイルの代表的なスタイルではないでしょうか?

 Hair by Katsumi Matsuo 


1920年代女性はこうあるべきという以前までの女性に求められてきた社会的、性的規範を軽視した女性たちによるフラッパーファッション、膝丈の短いスカート、ジャズ音楽などを好んで、濃いメイクアップで強い酒を飲み、性交渉、喫煙、ドライブを積極的に楽しむというスタイルがアメリカからヨーロッパまで広まりました。G・W・パープスト監督の『パンドラの箱』と『淪落の女の日記』でも知られるルイーズ・ブルックスのボブ・カットは時代を象徴するシンボルでした。

日本でも大正デモクラシーの自由な風に乗りモダンガール(モガ)と呼ばれ広まっていった。その中のヘアスタイルがボブであり、ボブカットは女性達の意思の表明であり、古い社会の価値観を一新し、女性達を強い自立への道に歩む20年代のシンボルヘアスタイルでした。


 映画では、1994年『 パルプ・フィクション 』で、 ミア・ウォレスを演じるウマ・サーマン、『 レオン』 マチルダ・ランドーを演じるナタリーポートマン、1997年『フィフスエレメント』リー・ルーを演じる ミラジョボビッチ。芸術家の草間彌生、アメリカ版「VOGUE」誌の編集長アナ・ウィンター、COMME des GARÇONSの川久保玲もボブスタイルは彼女たちのシグネチャースタイル。やはり20年代同様、ボブスタイルは美しさと強さを兼ね備えたスタイルによく似合うスタイルだと感じます。


 そしてボブスタイルで欠かせないのが60年代のヴィダルサスーン、THE SHAPE , NANCY KWAN, THE FIVE POINT, THE GEOMETRIC ,A-LINE BOB, THE, THE ISADORA, 70年代に入り、川島文夫氏のBOX BOBなど他にも様々なスタイルを生み出していきました。

その中でも1966年に発表されたTHE ASYMMETRIC GEORETRIC 事故で片目を失ったお客様の為に考案されたスタイル。そのアイデアを原型にして、モデルのペギー・モファットのヘアをカットして出来たのが作品です。

このスタイルのできた話を聞いた時、ヘアスタイルは相手のために作ることで、成形する知識や技術、相手の感情や作って欲しいことを聞き出すコミュニケーション能力や理解力を大事にし、自分のスタイルは自己表現ではなく他者表現だと認識できた出来事になりました。


 このように流行している出来事を様々な視点から過去に遡れば自分のスタイルをブラッシュアップできる事に出会えるヒントになるかもしれません。




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